bechang’s blog

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映画 ミッドナイト・スワン(感想)

ミッドナイト・スワンを観て

 

あらすじ:新宿のニューハーフショークラブのステージに立っては金を稼ぐトランスジェンダーの凪沙(草なぎ剛さん)は、養育費を当て込んで育児放棄されたいとこの一果を預かる。セクシャルマイノリティーとして生きてきた凪沙は、社会の片隅に追いやられる毎日を送ってきた一果と接するうちに、今まで抱いたことのない感情が生まれて、二人の距離が徐々に近づいていく。

 

昨日テレビCMでこの映画がやっていて、瞬間的にこれは絶対に観たいと思った。予告編に移った草なぎさんの姿から只者ではない雰囲気というか、漏れ伝わってくるものがあった。ストーリーもわからないけれどとにかくこれは絶対観たい、草なぎさんの姿を拝みたいと思ってわざわざ有給使って久々に映画館へ(週末だと混んでしまうので)。

 

個人的に怪演とか熱演とかが好きで、たまに予告編の演技を観て目当ての俳優さん女優さんのために映画を観たりするけど、大体がストーリーがつまらないことが多い。演技は素晴らしいけれど設定やストーリーに無理があってがっかりすることが多い。でも今回は凄まじいものを観た。「面白い」とか「感動する」とかを超えて、おそらく監督と役者の魂の結晶だった。凪沙と一果の持つ苦しみや悲しみや不安が自分の心の中にある何かに共鳴して激しく震えた。そしてこれは多くの人が同じように感じていると観ながらに思った。それくらい、この映画の登場人物たちの姿は観る人の普遍的な感情に訴えかけてきた。そして、話を盛り上げるだけの余計なまたは過度な演出がないことも、観る側の異様な感情移入を高めたんだと思う。そんな演出がいらないくらい共鳴するものが大きくて激しかった。草なぎさんとても天才で才能ある方だと思ったし、演技がどうこう以前に、ここまで痛々しい姿や表情をさらけ出せることに驚いた。なんというか、草なぎさんは選ばれた人なんだなと思った。彼が演じる凪沙という人物を通して、人の心を震わせるほどの愛情や、優しさ、執着、苦しみなんかが伝わってしまうことが悲しくも感じた。それくらいこの人は心の中に抱えているものが大きいのではないかと観るものに思わせる何かがあった。本当に草なぎさんが凪沙に代わって彼女の人生を皆に伝えてくれたんだと思う。